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5☆s 講師ブログ

視線の認知

前回、相手の視線を認知するということは、きわめて高度な知性であるとお話しました。

発達心理学の研究によると、赤ちゃんは生後9カ月で、他人の視線を認識するそうです。
例えば、お母さんが「車」を見ながら、「くるま」と言ったとします。

このとき、赤ちゃんは、お母さんが何を見ているかを瞬時に確認します。
つまり、母親の目を見て、視線の方向を確かめます。
それから、その視線をたどっていき、やがて「車」に行きつきます。
これを視線追従と言います。

また、一度赤ちゃんの目をしっかり見て、話しかけてから視線を移すという実験では、
生後6カ月でも視線追従したそうです。

このように、赤ちゃんは、相手の目を見て視線を認識するという、かなり高度なことをやっているのです。
これができない子供は、自閉症スペクトラムの疑いがあります。

自閉症の子供に人の絵を描かせると、
着ている洋服や背景については、細かいところまで克明に描くのですが、
顔に関してはほとんどのっぺらぼう状態のことが多いそうです。
つまり、顔を見ていないのです。

ところで、人間の場合は、顔が正面を向いていても、左右に視線が動いたらすぐにわかりますよね。
これってとても重要なことなのです。

今、ウサギの場合を考えてみましょう。
ウサギの目はほとんど黒目ですので、ウサギがどこを見ているのかは
顔の向きから判断するしかありません。

と言うか、そもそもウサギは、目よりも耳が発達していますので、
注意を向ける場合は、その方向に顔を向けるのではなく、耳だけを向けます。

人間の場合、中心に黒目(虹彩)があり、その両側に白目(強膜)があります。
そして、全体が横長の楕円形となっています。
このため、顔が正面を向いていても、左右の視線の動きがわかります。
ですので、話している相手が、今別の方に関心を向けたらずくにわかってしまうのです。

小林洋美氏らの研究によれば、木の上で暮らす霊長類の目は、白目も含めて真円がほとんどで、
地上で暮らす種は横長の楕円形となっているそうです。

これは、木の上では上下左右をまんべんなく見ることが多いのですが、
地上では左右の横方向を見ることが多いからだと考えられます。

また、白目についてですが、人間以外の霊長類では色が付いていて、人間ほど白くありません。
なぜ、人間だけこんなに白目部分が白いのでしょうか。

ロンドン大学の千住淳氏の説はこうです。
白目部分が白いと、黒目とのコントラストがよりはっきりして、より黒目の動きがわすりやすくなる。
つまり、視線をより伝えやすくするために、このような進化がなされたというのです。

そうです!
視線の認知というのは、人間にとって重要なコミュニケーションの手段なのです。

最近、ケータイの影響なのか、相手の目を見ずに話す若者が増えたような気がします。
でも、サルだって相手の視線を認知するのですよ。
これはもはや、「サル以下」と言ったら言い過ぎでしょうか。

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