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5☆s 講師ブログ

ロムニーの成功

前回クルーグマンの本について書きました。
そこで思い出したことがあります。

2カ月ほど前、NHKのBS放送を見ていた時のことです。
たしかCNNだったと思いますが、アメリカの大統領選挙の話で盛り上がっていました。

ニュース番組なのでしょうか、司会者の他に、オバマとロムニーの各陣営のブレーンが座り
お互い丁々発止の議論を展開していました。
大統領選挙には全く興味のない私が、なぜ延々と見続けたかというと、
中立のコメンテーターとして、ポール・クルーグマンが参加していたからです。

さすがアメリカ!
コメンテーターにノーベル経済学者を用意しているとは・・・
これが日本なら、庶民代表ということでお笑いタレントが登場していることでしょう。
私はこんな時に、日本とアメリカのジャーナリズムの差を感じてしまいます。

それはさておき、ロムニー陣営がコテンバンにやっつけられたのは経済政策の件でした。
ロムニーのプレーンが胸を張って、彼がマサチューセッツ州知事時代に、
どれほど失業率を引き下げたかという自慢話をしたときです。

オバマ陣営が舌鋒鋭く反論を始める前に、クルーグマンが珍しく穏やかに話し出しました。
いわく、マサチューセッツの成功は、ユーロにおけるギリシャの問題と裏腹の関係にあると。

まず、ユーロがなぜうまくいかないかを考えてみましょう。
これも、いつかキチンと整理してお話ししたいと思いますが、
ここではまず、同一通貨が通用する適正範囲について考えます。
経済学では「最適通貨圏」と言います。
ノーベル経済学者のロバート・マンデルが説いたものです。

まず、お隣同士のA国とB国があったと想定してみます。
A国とB国の間では、盛んに貿易が行われています。

まずケース1。
A国はA貨、B国はB貨という別々の通貨を使っているとしましょう。

A国の景気が悪化すると、A国の通貨は減価します。
つまりA貨安(=B貨高)ということになります。
これにより、A国は貿易で有利になります。
そのため、A国の輸出が盛んになり、やがて景気は回復します。
これが、変動相場制がもたらす恩恵です。

次に、ケース2。
A国とB国が共通通貨を使っていた場合はどうなるでしょう。

さきほどのメカニズムは働きませんので、A国では失業者が溢れ返ったままです。
やがてA国の失業者たちは職を求めて、国境を越えてB国に出稼ぎに行くようになります。

つまり、同一通貨の最適な範囲というのは、労働者が移動できる範囲なのです。
そういう意味では、ユーロはもともと経済学的に無理がありました。
労働者が職を求めて移動するには、あまりに範囲が広すぎるからです。

これがクルーグマンの言うギリシャの問題です。
ギリシャの労働者のほとんどが職を求めてドイツに移動するなら、ギリシャの問題は即座に解決します。
しかし、それは無理というものです。

では、マサチューセッツ州は、なぜ失業率を引き下げることに成功したのでしょうか。
答えはカンタン。
労働者が職を求めて、マサチューセッツ州から出て行っただけのことです。
これが、ロムニーの成功の勝因なのです。

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