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5☆s 講師ブログ

ロバート・ギボン・ジョンソン大佐

1820年9月26日。
ニュージャージー州セーレムの郡裁判所前は、黒山の人だかりでごった返していました。
ある男の公開自殺を見届けようと集まった観衆は、およそ200人。

これだけ人が集まった理由は、公開自殺というだけでなく、一風変わったその手段にありました。
なんと、毒性の強い植物の果実をたらふく食べるというのです。

当時のアメリカでは、その果実は肺炎の原因とも、胃癌の原因とも言われ、
食べるどころか手にとることさえ憚られるほど忌み嫌われていました。

地元のバンドがおごそかに葬送曲を奏でる中、駆けつけた男の主治医が必死の形相で翻意を試みます。
「止めなさい!その果実をひとつでも口に入れたら最期、泡を吹いて虫垂炎の痛みで七転八倒する。
シュウ酸は命に関わるものなんだ!」

なぜか病名が変わっているのがちょっと気になりますが、
そんな細かいことにこだわっていられないほど事態は切迫していました。
友人達も懇願しますが、男の決意は変わりません。

ついにその男、ロバート・ギボン・ジョンソン大佐は、観衆が固唾を飲んで見守る中、
悪魔の果実を1個鷲掴みにするや否や、ガブリとむしゃぶりついたではありませんか。

水を打ったような静寂が支配します。
しかし変化は見られません。

おもむろに大佐は、2個目に手を伸ばします。
そして、あれよあれよと言う間に、バスケット一杯のその果実を、すべて平らげてしまったのです。
これがまさに、アメリカにおいて、“トマト”が市民権を得た歴史的瞬間でした。

アメリカ中の新聞が競ってこの記事を書き立て、これを契機にトマト栽培は一気に普及していきます。
ジョンソンは、決して無謀な賭けに出たわけではありません。

彼は旅行に出掛けたヨーロッパで、食卓にトマトが上っているのを目の当たりにします。
特にイタリア人などは、それこそ“死ぬほど”たくさん食べているではありませんか。

その苗を持ち帰り、農場主にトマトの栽培を呼びかけたのは、この茶番劇から遡ること12年前。
12年かかってもなお続く、忌々しい偏見を打ち破るためには、
どうしてもこのようなパフォーマンスが必要だったのです。

化学式や数式などの科学的手法を用いて、安全性を説明することは比較的簡単です。
しかし、「不安」という、科学が生まれるはるか前から人類が抱いている、
生存本能に根ざした感情を完全に拭い去ることは、それほど簡単ではありません。

理性と感情のバランスというのは、実に微妙なものだなどと思いながらテレビを見ていたら
九州の原発を再稼働させることの是非について取り上げていました。

反対派は、阿蘇山大噴火の危険性を訴えていました。
地層の研究から、9万年前に阿蘇山が大噴火したことがわかっています。

大学教授は、再び同規模の大噴火が起こる可能性は十分にあると語気を強めます。
もしそうなれば、原子炉の融解を引き起こし、九州には人が住めなくなることは間違いありません。
たしかに、大変なことです。

しかし、もし9万年前と同規模の大噴火が起きたら、たとえ原発がなかったとしても、
九州に人が住むのは困難になるでしょう。

そもそも9万年前の地球と言えば、ヨーロッパの辺りでクロマニヨン人がウロウロしていた頃です。
そう考えると、このような不安に翻弄されるのは、いかがなものかとも思います。

それより、もっと現実的な話をしましょう。
ある現役バリバリの活火山は、過去1300年にわたりほぼ100年おきに規則正しく噴火を繰り返してきました。
ところが、ここ300年間は、なぜかピタリと動きを止めています。

いかがですか?
もう噴火はないだろうと考えますか?
それとも、そろそろ大きな噴火がくるかもしれないと考えますか?

たとえめでたく世界遺産に登録されようとも、あの日本一美しい山に登る時には、
御嶽山に登るくらいの覚悟が必要ではないでしょうか。

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