講師ブログ

ハンバーガーで読み解く為替レート

2012年05月18日

前回、チョー円高の謎を、小学校の算数で解き明かすと予告しました。
では早速はじめましょう。
あまりに簡単な計算ですので、電卓も要りません。

今、1ドル100円という為替水準だったと仮定します。
そして、日本でもアメリカでも、同じ品質のハンバーガーが同じ価格で売られていたとします。

では問題です。
日本でそのハンバーガーが100円のとき、アメリカではいくらでしょうか?
これはカンタン、1ドルですよね。

次にその後10年間、日本ではデフレが続き、アメリカではインフレが続いたとしましょう。

日本では毎年1%ずつ物価が下がり続けたとします。
ザックリ言って、100円の1%、すなわち1円ずつ値下がりします。
1円が10年間続きますので、10年後のハンバーガーの価格は90円となります。
(ザックリ言わずにキチンとべき乗計算すると、90.438円となります)

一方アメリカでは、毎年2%ずつ物価が上がり続けたとします。
ザックリ言って1ドルの2%、すなわち0.02ドルずつ値上がりします。
0.02ドルが10年間続きますので、10年後の価格は1.20ドルになっているはずです。
(ザックリ言わずにキチンとべき乗計算すると、1.219ドルとなります)

さあ、10年後のドル円レートを計算してみましょう。
1ドルあたり何円かを計算すればいいわけですから、90円/1.219ドル=75円となります。
(ザックリ言わずに正確に言うと74.190ドルです)

いかがですか?
今のドル円レートにかなり近い水準になりましたね。

別にこれはマジックでもなんでもなく、購買力平価という経済学ではごく初歩的な考え方です。
簡単に言うと、為替レートはその国の物価の影響を受けるということです。
いつもキッチリ連動するわけではありませんが、大まかな傾向としては連動しています。
これを真っ向から否定する経済学者はほとんどいません。

さて、計算の結果75円という、現在のレートに結構近い数字になってしまいました。
ということは、現在の為替レートはかなりマトモな水準で、チョー円高ではないのでしょうか。

違います!

冒頭話したように、1ドル70円などという為替レートは、日本経済にとってはあってはならない水準なのです。
ではなぜこの水準になってしまったのでしょうか。
ズバリ言うと、中央銀行がデフレを放置していたからです。

次回詳しくお話ししましょう。


チョー円高の謎を解く

2012年05月12日

一時期は、1ドル70円と、とんでもないチョー円高が日本経済を苦しめていました。
輸出産業がメインの日本にとっては、致命的な水準です。

ある大学教授は、1ドル50円台までいくだろうと予想しています。
どんなに景気が悪くなっても失業しない職業の人は、お気楽でいいなと思います。

もし、本当に50円になったら、日本経済は壊滅状態になるでしょう。
この教授の教え子は、ひとりも就職できないかもしれません。
それでも給料がもらえる仕事はうらやましい限りですが、
はたしてこういう職業が世の中のためになっているのか疑問です。

それはさておき、なぜこんなにも円高が進むのでしょうか。
日本の円が買われているということは、
それだけ日本の国力が強い、将来有望だということの表れです。

でも、毎日の新聞記事を読む限り、日本はギネスに載るくらいの借金大魔王の国で、
将来は大絶望のはずです。

何せ首相が「消費税をあげないとこのままでは破たんする」と力説しているのですよ。
そんな国の通貨は、絶対に将来大暴落するに決まっています。
なぜそんなに危険な国の通貨をみんなが競って買っているのでしょうか。

これもマーケットが間違えているのでしょうか?
いいえ違います!

答えは「デフレ」だからです。
次回は、このチョー円高の謎を、簡単な計算で解き明かしてみましょう。

えっ?計算は苦手だって?

大丈夫!
小学校の足し算と掛け算さえできれば、すぐに理解できます。
目からウロコ、請け合いですよ。


マーケットが間違えているのか?

2012年05月04日

これまで日本の金融マーケットを、国債と株を両面から見てきましたが、
両方ともきわめて異常な価格で取引されていることがお分かりいだたけましたでしょうか。

日本国債は、日本が借金大魔王の国であるにも関わらず
とんでもない高値で取引されていました。

一方、日本株は、その会社の純資産総額を下回る株式総額で取引されていました。

どちらも理論的には説明のつかない事態です。
これは果たして、マーケットが間違えているのでしょうか?

金融に携わる人で、「マーケットが間違えている」と断言できる人がいたら
その人は大ウソつきです。
なぜなら、現にそのマーケットが存在していることは否定のしようがないからです。

でもご安心ください。
マーケットが間違えていないことを、簡単に説明できるキーワードがあります。
そしてそれは、このチョー円高までも実にシンプルに説明してしまいます。

そのキーワードとは、「デフレ」です。
国債価格、株価、ドル円レート、そして景気低迷・・・・
すへでの異常現象が、「デフレ」で説明できるのです。

すべての諸悪の根源は「デフレ」です。
このデフレさえ解消すれば、すべては正常値に戻ります。

その証拠に、2月に日銀が金融緩和と、1%のインフレ率を目指すと発表するや否や
為替相場は円安に向かい、株価は上昇基調となりました。

5年前から言い続けていることですが、この不況を脱却するのは実にカンタンなのです。
インフレを実現すればいいだけなのです。
そしてそのことにコミットできるのは、世界中どこでも同じで、中央銀行だけなのです。

ですので、バブル崩壊以降20年もの長きにわたって、それを怠ってきた日銀の責任は
非常に重いものがあります。


乗っ取れば大儲け

2012年04月30日

前回、発行済み株式総数が1億株で、純資産は金庫に入っている100億だけという
会社があったと仮定しました。
そして、このとき株価は100円を割り込まないはずだと言いました。

これをわかりやすく解説しましょう。

今、仮に株価が100円を割り込んで、80円にまで値下がりしたとしましょう。
そして、ある投資家が、この会社の株の買い占めを企んでいるとしましょう。
ちなみに彼はこの会社を経営する気などなく、財テクと考えています。

さて彼は、いったいいくらの資金があれば買い占められるでしょうか。
答えは簡単、80円×1億株=80億円ですよね。

そして80億円で手に入れた会社をすぐに解散します。
この会社はすでに彼のものですので、会社の資産は彼の個人資産と同じです。
というわけで、金庫にあった100億円が彼のものとなります。

いかがですか?
彼は80億の元手で、100億を手に入れたわけです。

でも皆さん、おかしいと思いませんか?
もし100円を割り込む事態が本当に起きるなら、「買い占め⇒会社解散」のブームが起きますよね。

そうです。
ですので、株価は理論的には100円を割り込まないはずだと、金融の教科書は教えているのです。
これを難しく言うと、「PBRは1を割り込まない」ということなのです。

しかし、実際にはどうでしょう。
なんと昨年は、日本の一部上場企業の平均は、1を割り込んでいました。
今年の2月に、日銀がインフレ率1%と大幅な金融緩和を発表して以降は、
株価が上昇基調となり、 ようやく1を超えることができました。

しかし 現在でも、日本を代表するような大手企業が、
1を大幅に割り込んでいるというケースはかなりたくさんあります。

ということは、どこかの国の資産家が、日本の大企業を片っ端から買い占めて
すぐに解散したら莫大な利益を手にできるのです。
まさに、『乗っ取れば大儲け』なのです。

日本の株式市場が、いかに異常な事態かお分かりいただけましたでしょうか。


株価の最低基準

2012年04月23日

株価が適正かどうかを見る指標はいくつかありますが、
今回はPBR(株価純資産倍率)に注目します。

これは、簡単に言うと、株価の合計が、
その会社の純資産の何倍まで買われているかということです。

わかりやすい事例でお話ししますね。

今、Aという会社があったとしましょう。
計算を簡単にするために、上場の条件は一切無視して、
とりあえず上場企業だとしましょう。
ですので、株式がマーケットに流通しています。

仕事はブローカー業務だとしましょう。
ですので、工場などはありません。
本社も賃貸ビルで、机などもすべてレンタルだとしましょう。

社員は社長ひとりで、借金はゼロです。
この会社の純資産は、金庫に納められている100億円の現金だけです。

今発行されている株式の総数が、1億株だとしましょう。
今、取引相場が一株あたり300円だとすると、
株式の総額は、300円×1億株=300億円となります。

純資産は100億円ですから、株はその3倍まで買われているということになります。
このとき、PBR=3となります。

さて、ここで問題です。
この理屈からすると、株式の取引相場の最低価格、つまりこの金額を割り込むことはない
という株価はいくらになるでしょうか。

答えは100円です。
なぜなら理論上、PBRは「1」を割らないからです。

この解説は次回にしましょう。


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